Filed Under (2-5.生活習慣と育児) by 秋月 秀一 on 17-02-2010
第2章の5
朝の光が、大きく育てる。
〜「(3)健康をつくる 〜生活習慣から環境を考える」
植物の葉は太陽光の力を利用して根から水分を吸い上げて分解し、空気中の二酸化炭素を酸素と栄養分に変える「光合成」を行います。
植物には体内時計があり、太陽の日照時間や日差しの強さによって四季の変化を感じています。朝の光は、植物の成長に最もよい効果を与えます。朝顔は日没から約10時間後に開花することが分かっています。朝顔を昼間に暗いところへ置くと、体内時計のリズムが崩れて夜中に開花することもあるそうです。
人の生活においても昔から「早寝早起きの習慣」をつけて、生活のリズムを整えることが健康の基本と言われています。
文部科学省では「早寝早起き朝ごはん」の国民運動を推進しています。その背景には、夜遅くまで起きている子どもが増えており、健康や精神状態に悪影響を与えていることがあります。
早寝早起きはなぜ、子どもたちに必要なのでしょうか?
それは人にも体内時計があり、体温を調整したり生理現象をコントロールしているからです。夜型の生活でリズムが狂うと時差ボケのような状態になったり、うつや無気力になると言われています。
早起きをして朝の太陽光を浴びると体内の時計がリセットされ、脳が睡眠ホルモンの分泌をやめるので、すっきりとした気分になります。
早寝早起きをすることの利点には次のようなものがあります。
(1)前日の疲れをしっかり取り、活力を養うことができる。
(2)しっかり眠ることで成長に必要なホルモンが多く分泌される。
(3)早起きすることで、朝食をゆっくりと十分にとることができる。
文部科学省、国立教育政策研究所、東京都教育委員会、農林水産省などが生活習慣と学力に関する調査を行なっています。その結果はいづれも、毎日朝食をとる子は朝食をとらない子よりも学力が高い傾向があることでした。
また、文部科学省の「体力・運動能力調査報告書」では睡眠時間が長いほど、体力テストの結果が良いことが分かっています。
子どもが夜遅くまで起きている原因が、親の生活習慣による場合もあります。特に幼い子どもがいる家庭では、早めに眠りにつくための環境を整える必要があります。
赤ちゃんは、生後3カ月前後で昼と夜の違いが分かってきます。まだ、子どもが小さいから大丈夫だろうと思って、大人が夜型の生活を続けていると、赤ちゃんは体内時計のリズムを合わせることができません。そうなると、赤ちゃんがなかなか寝つけない、夜泣きが多くなる、夜中に何度も起きるなど不健全になります。
子どもが幼児期になると、軽い疲労や脳を休めることが睡眠に良い影響を及ぼします。公園や散歩などに出かけて昼間に軽い運動をしておくと、ほどよい疲れを感じて心地よい眠りにつきやすくなります。また、青空の下で思うままに体を動かすことは、家の中でたまったストレスを解消してくれます。
就寝時間が近くなると、子どもの脳を休めるように親が環境を作ることも大切です。
テレビを見たりゲームをした直後は、興奮して寝つけずに就寝時間を遅らせる原因になります。就寝前には明かりを落として、静かな環境を整えてやるのが大切です。
本を読み聞かせたり、1日の出来事を和やかに話すなどすると、子どもがリラックスして眠りにつけます。
理想の睡眠時間について、幼児では11時間前後、小学校低学年は10時間前後、小学校高学年では9時間半程度と言われています。
わが家では、子どもが生まれる前はずっと夜型の生活で、深夜まで仕事をしているのが普通でした。しかし、娘が小学生になってからは、子どもに合わせて朝型の生活習慣に変えました。
そのことで私の仕事にも良い影響がありました。創造的な仕事は集中力を必要とします。以前はぼんやりとした頭でもパソコンの前に座り、無理に作業をしていました。その結果、作業時間は長くなり、目が疲れて肩凝りに悩まされていました。一方で朝の時間にゆとりがあると、手順や目標をイメージしてから仕事に取り組むことができ、効率が良くなりました。
朝の光は、植物にも人間にも素晴らしい恵みをもたらします。
早起きで発見したこともありました。
それは、庭の植物の様子が昼間とはまるで違っていたことです。
冷たい空気の中、朝日を浴びて輝く花や木たちは
みずみずしい生命力に溢れていました。

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Filed Under (1-4.心を育てる) by 秋月 秀一 on 14-02-2010
第1章の4
小さい時に手をかければ、あとは自然に育つ。
〜「見た目よりも、心を育てる」
米作りには「苗半作」という言葉があります。「しっかりと良い苗を作れば収穫までの半分は成功したようなもの」という意味で使われます。植物を育てるのに一番大事な時期は、種が発芽してから根が張るまでの間です。芽が出たばかりの頃に、茎や葉が傷んだり虫に食べられると、その後の健全な成育は望めません。
ところが、小さい苗の時に精一杯手間をかけてやれば、後がとても楽になります。苗が大きくなると植物の成長スピードが上がって病気や食害に勝るのです。また、たとえ日照りが続いたとしても、根を深く張っていれば簡単には枯れません。
『3つ子の魂百までも』という諺があるように、育児においても一番大切な時期は、誕生から幼児期の頃です。
この時期には、目に見える成果よりも、子どもの心を育てることが大切です。
【楽育】では、子どもの心を植物の「根」に例えています。根は土の中にあり、私たちが見えないところで成長します。
根がしっかりと張っていれば植物は強くなり、多くの花を咲かせます。反対に根の張りが浅ければ花や枝を支える力が不安定になり、ちょっとした雨風で倒れてしまいます。
「家庭環境」が、しっかりと根を張って自立するための「土」となり、
「生活習慣」が、茎を伸ばして葉をひらく成長の「水」となり、
そして、親からの「愛情」が太陽の「光」となって子どもを育みます。
子どもが誕生した瞬間から、誰でも「幸せになって欲しい」と願い、ありったけの愛情を注ぎます。しかし、自分でも気づかないうちに愛情ではなくストレスを与えていることがあります。子どもはストレスを感じると、不安で落ち着かない気持ちになります。
ユニ・チャーム(株)の調査によると、母親の72%が育児に不安やストレスを感じているそうです。また、そのうちの85%が「パパの育児参加によりストレスの半分以上は解消される」と答えています。
母親のストレスの主な原因は「自分の時間がとれないこと」「自分の思い通りに育児ができないこと」にあると言われます。
「自分の時間がとれないこと」は、そのことを思うほどにストレスがたまります。
しかし、「忙しい」ことは自己暗示である場合が少なくありません。
自分のために欲しいのは、本当に大切な時間でしょうか?
「もっと自分の時間が欲しい」と思った時に、私は次のことを普段よりも深く考えます。
(1)「自分の時間は、何をするためのものか?」
(2)「自分の時間は、どのくらいの長さ、頻度が必要か?」
(3)「どうすれば、自分の時間が手に入るか?」
すると、自分の時間は現実逃避の幻に過ぎず、最優先で行なうほどではないことに気づきます。また、それは時が経ち、子どもに手がかからなくなれば、いくらでも取り戻せる時間であるように思います。
私たちにとって本当に大切なものは、子どもと今を一緒に過ごすことなのです。
「自分の思い通りに育児ができない」と感じる時は「完璧主義の罠」に捕まっている可能性があります。育児に完璧な正解はありません。
「○○でなければならない」という思い込みがあると、もがくほどに罠から抜け出せなくなってしまいます。
また、育児では他人の目を意識し過ぎて、ストレスを感じることもよくあります。
たとえば「赤ちゃんの泣き声を人に聞かれたら、育児をちゃんとやっていないと思われないか」など、子どもの行動で親が評価されるのを不安に思う時があります。
けれども、自分で思っているほどに、赤ちゃんの泣き声は人に不快なものではありません。私たちが住んでいた家では、近所の人から「最近、赤ちゃんの泣き声が聞こえずに寂しい」と言われたこともありました。不安は思い込みや勘違いであることが多いのです。
保育園や幼稚園へ入ると、自分の子どもをよい子に見せようとする母親がいました。
しかし、子どもに「よい子」であることを求め過ぎると、うわべだけをうまく取り繕い、思わぬところで悪い芽が出ます。
娘が通っていた幼稚園では、母親の前ではよい子でも、親のいない所では態度が豹変する子どもがいました。普段は素直に見える子が急に乱暴したり、友だちを誘ってほかの子に嫌がらせをするのを知った時には唖然としました。
親の期待が大きい子は、親の前では「よい子」であり続けようとします。
けれども、親の期待に応えられない日が来ると、簡単に心が折れてしまうそうです。
「よい子」だった子どもが、何の前触れもなく家族に暴力を振るうようになったり、自分を傷つけたりすることは、現代では珍しい例ではありません。
【楽育】では、幼児期の子どもは外見を気にするよりも、「心」をしっかり育てることが大切だと考えています。
子どもと過ごす時間は、いつも楽しいことばかりではありません。
些細なことに腹が立ったり、思い通りにならずイライラしたり、求められるばかりで鬱陶しく思えるのが日常です。しかし、それが永遠に続くわけではありません。
誕生から幼児期までの子どもの成長はたいへん早く、後になってみれば「あっという間だった」思えるものです。
私は育児がつらく感じた時は、まずは自分自身の心の中で固い土を柔らかく耕すことから始めます。
小さな苗を両手で支え、柔らかな土に真っすぐに仕立るつもりで、こう思います。
「今が一番大切な時期。やがて全てが良き思い出となる」。

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