10歳までの楽育〜第4章の10

毎日見ることで、新たな発見がある。

〜「子どもの変化を見逃さない習慣」


春にマリーゴールドの種をまいて発芽した時のことです。新芽の2、3本が何かに食害されているようでしたが、その時はあまり気になりませんでした。ところが、翌朝には見事に30本以上の苗が全滅していました。ヨトウムシの痕跡を見つけたら、すぐに鉢の裏などを調べて駆除すべきでした。私は変化の前にあった兆しを見過ごしてしまったのです。
良い枝を伸ばし、悪い芽を早く摘むために大切な事は、毎日よく観察することです。
「水分や栄養は足りているか?」「虫がついていないか?」「弱っているところはないか?」など小さな兆候を見過ごさず、早めに対処することで植物を守ります。

育児においても、大人が早く子どもの変化に気づく習慣が大切です。
【楽育】は、よく子どもの様子を見ることで、相手を理解する手がかりにします。大きな変化の前には必ず兆しがあります。それを早めに見つけることで、親として何が出来るかを考え、対策に十分な時間をかけることができます。
現代の子どもは、誰でもいじめの被害者、加害者になり得ます。
いじめを受けている兆しは、子どもの表情、言葉、行動、持ち物などに現れます。
次のような兆しに気づいた時や普段と子どもの様子が違うと感じたら、子どものことをいつもよりも気にかけることを習慣にします。

・子どもの表情が暗く、沈んで見える。
・親と顔を合わせようとしない。話しかけても反応が鈍い。
・自分から積極的に話さない。友だちの話をしない。
・持ち物が頻繁に紛失したり壊れたりする。持ち物に落書きがある。
・ちょっとしたことで怒りっぽくなり、わざと汚い言葉を使う。
・理由もなく親に反抗的な態度を取る。投げやりになる。
・服の汚れがひどい。ボタンがよく取れる。

子どもの様子を知るには、本人から話を聞くのが最も近道です。
リラックスして話しができる環境を作り、子どもが素直な気持ちを外に出せるように働きかけます。
食事の時であれば、まず、テレビやラジオなど音を消して、他愛のない話題から話しかけます。次に面白かった事や子どもの興味のありそうな話題などを、自らが提供することで関心を引きます。
子どもに質問する時は、漠然としたことよりも、最初は簡単に答えられる内容を聞くのがよいでしょう。
たとえば「今日は、どうだった?」と質問すれば、回答するのに時間がかかります。子どもは頭の中で一日の出来事を整理しなければならず、面倒になるからです。これでは「まあまあ」「普通」など、適当な返事に終わり、会話が続かなくなってしまいます。最初は軽くキャッチボールを楽しむように質問をします。「給食は何だった?」「体育の授業では何をしたの?」など、相手が深く考えなくても回答できるように質問します。

家でリラックスして話ができないと感じた時におすすめなのは、一緒に散歩に出かけることです。
人は歩きながら話すと、前向きになれると言います。
交渉の神と言われるアップル社のスティーブ・ジョブズは、ここ一番の交渉の場面では、相手を散歩に誘いました。米ペプシコーラ社の幹部であったジョン・スカリー氏を自社のCEOに招く時、ジョブズ氏は歩きながら次のように語ったそうです。
《残りの人生も砂糖水を売ることに費やしたいか、それとも世界を変えるチャンスが欲しいか?》
子どもと面と向かって話しにくい事でも、歩きながらであれば自然に会話が弾みます。

娘が保育園に通っていた時のことです。毎日が楽しそうにしていたので、私たちもすっかり安心していました。
しかしある日、保育園から帰った時の様子がちょっと普段とは違うように思えました。そこで、近所にある池の方へ散歩に誘って出かけました。歩きながら保育園での様子を聞いてみると、悩みがあることが分かりした。
娘は同じクラスの子から「許さない」と言われていました。何の理由もなく突然に2人の女の子から因縁をつけられて傷ついていました。私は5才の娘なりに悩みがあること事を知り、できる限りの助言をしました。
もし、いつもとちょっと違う様子を感じていなければ、そんな出来事があったことをずっと知らずにいたかも知れません。
また、その兆しは毎日気をつけて見ていなければ見つけられなかったはずです。
子どもの悩みは、親が気づいてやらなければ放置されます。子どもにとって、自分の悩みを聞いてもらい、支えられることも時には必要なのです。

私たちは子どもを「見守る」という言葉をよく使います。
「見守る」は、子どもを目の前で見ていて守るという意味だけではなく、昨日も今日も、そして明日も気にかけることでもあるように思います。

1日が終わり、すやすやと眠る子どもの横顔を見ると
いつも寝顔が自分にそっくりな気がします。
私は自分の寝顔を一度も見たことがないというのに。



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