10歳までの楽育〜第3章の12

枝の誘引を行うと、たくさんの花が咲く。

〜「好奇心の種まき」


枝を伸ばしたいと思う方向へ導き、理想の樹形にする作業を誘引といいます。誘引は主に植物が眠っている冬に行うもので、この作業の出来が春からの開花に影響を与えます。
つるバラは上に伸びた枝に花芽がつく性質が多いため、枝を横にすることで多くの節から花芽を伸ばせるようにします。
このように、人がちょっと手を加えることで、たくさんの花を楽しめるようになります。

「好奇心」はあらゆる知的活動の原動力です。学習、観察、調査、実験、研究など全ては興味を持つことから始まります。
《欲がない人間、好奇心のない人間に用はない》
こう語ったのは、革新的な製品を次々と生み出し、世界のSONYを築いた創業者の一人、盛田昭夫でした。
前向きに物事を考え、新しいことを探求する意欲がなければ、ビジネスを成功に導くことが困難であることを教えてくれています。
しかし、最近では「好奇心」を芽を、自らの殻に閉じこめたまま伸ばそうとしない子どもが珍しくありません。
娘の小学校では「面倒っちい」という言葉が流行しています。友だちから「一緒にやろう」と誘われても、「面倒っちい」の一言で敬遠してしまうのです。
適当に考えて怠けることを「倦怠(けんたい)」と言います。
親が子どもと関わるのを避けている家庭では、倦怠の芽が育ちます。

【楽育】では、親が子どもと関わって上手に誘引してやることで、子どもから「好奇心」の芽を伸ばします。また、親子が一緒になって「なんで?」という不思議を楽しむことが、大切な働きかけになります。

娘が1歳だった頃に、同じ年の子どもを持つ友だち夫妻と秋の公園へ行きました。散歩の途中で夫妻はベビーカーを押す手をとめて、道で松ぼっくりを拾いました。「松ぼっくりがあったとさ〜」と歌いながら、それを子どもに手渡しました。そして、ごつごつした感触を指で触って確かめさせたのです。
また、落ち葉や木の枝も手に取って、赤ちゃんに匂いをかがせてあげました。このとき、赤ちゃんは手と鼻で秋の気配を感じていたに違いありません。
風で葉っぱが鳴ると何の音かな?と赤ちゃんに語りかけ、拾った葉っぱを見せながら「かさかさかさ〜」と言ってみませした。
赤ちゃんは、茶色の葉っぱをじーと見つめて手を伸ばしてきました。握りしめると、葉っぱの形は崩れてしまいました。
池の水鳥を見た時は、親が鳥の鳴き声をマネて聞かせると、それを子どもがマネました。その親子は、見事なまでに自然の中に溶け込んでいました。彼らが子どもの「好奇心」を自然に誘引する様子はたいへん勉強になりました。
子どもが幼児期なると「なんで?なんで?」と大人に聞くことが増えてきます。私はできるだけ分かりやすく答えることを心がけ、さらに子どもの関心が深まるように「おまけ」をつけて返しました。
たとえば、動物の話題が出た時には「一番大きな動物は何か知ってる?実はクジラなんだよ」と、話題におまけをつけます。すると「なんで?くじらって動物なの?」と、子どもから新たな「好奇心」が芽生えるのです。

子どもが小学生になってからは、質問には簡単に答えずに、図鑑、辞書で一緒に調べて答えを見つけるようにしました。本当はインターネットで検索すれば早く済むのですが、自分で調べる意欲をつけるために、わざと回り道をします。
自分で調べる意欲は「好奇心」と深い関わりがあり、IT社会では必須です。検索エンジン大手の「Google(グーグル)」は、自社の目標を「人類のありとあらゆる情報を検索可能にすること」と掲げています。ネットは日々進化し、情報量は増大しています。
しかし、ネット有益な情報があっても、それを探し当てる意欲がその人になければ、自分の力にすることはできません。
IT社会では、検索する人の力量が問われます。
そして、次の両者には、雲泥の差が生じます。
(1)検索して関連ページを見つけ、分かったつもりになる人。
(2)検索結果をもと自分で考え、新たな検索をかけて多角的に情報収集ができる人。

子どもに知的好奇心が芽生えるようするには、どのような働きかけが有効でしょうか?
まずは、私たち親が物事を調べる姿をしっかり見せることで、子どもの興味を引きます。わが家では何か分からないことがあったら、親が「これ、調べてみよう」と声に出して宣言し、すぐに行動します。そして、調べて分かったことを子どもに教えてやります。
すると、子どもは大人のマネが大好きなので、自分で新しいことを調べて親に知らせるようになります。
また、子どもが何かに興味を持ったら、その話には十分に関心を持って耳を傾けます。「そうだったの!知らなかった。すごいね。初めて知った」などと共感を示し、親子で楽しみながら新しいことを学びます。

自分で答えを見つけることで「好奇心」は喜びになります。
人に認められることで「好奇心」は自信になります。
そして「好奇心」の種からは、新たな意欲である向上心が芽生えます。

神戸で「ポートピア」が開催された1981年、西武百貨店のキャッチコピーが世の中から注目を集めました。
《不思議、大好き。》

好奇心に目を輝かせる子どもの姿を見ていると
私たちも子どもの時間に戻って、不思議なことが好きになれそうな気がします。

にほんブログ村 子育てブログへ
– – – にほんブログ村 ランキング参加中 – – –



Copyright (C) 秋月秀一 All Rights Reserved. 本サイト掲載の記事、画像などの無断転載を禁止します。