10歳までの楽育〜第2章の7

土をしっかり耕して、多くの種をまく。

〜「土づくり(5)機会を作る」


「ワイルドフラワー・ミックス」という種をインターネット通販で購入しました。ワイルドフラワーとは野生の花のことで、20種類以上の花が楽しめる種が袋に入っていました。花の種類によって発芽する時期がずれているので、一度種をまいておけば春から秋まで次々に花が咲き続けます。
このように長く苗の植え替えを行なわない時は、土をしっかりと耕しておきます。
耕作することで土の中に酸素を多く含ませ、水分や栄養分の持ちが良い状態にしておくためです。

【楽育】では、次のような環境を作ることで子どもの成長を促します。
(1)体験の機会。(2)出会いの機会。(3)感動の機会。

人は体験することによって成長すると言われます。自分でやってみることが、考えることにつながるからです。
昔の子どもは家の手伝いをすることで様々な体験を学びました。家族から何らかの仕事を与えられ、大人から教わる事で社会勉強をしていたのです。
しかし、現代では子どもに家の手伝いをさせない家庭が増えています。
わが家では食事の皿運び、家のそうじ、庭の草抜きなど子どもに出来ることを見つけて手伝いの機会を与えるようにしています。少しづつ年齢にふさわしい仕事を与えてやることで、子どもは自らの成長を実感します。そして、働くことの喜びを知るのです。また、子どもにとって親の役に立てることは、自らの喜びになります。
最近の子どもは、外で遊ぶ機会が減りました。その理由は空き地や路地など遊び場が無くなったことや、塾や習い事が忙しくて遊ぶ時間が減ったことにあります。外遊びはテレビを見たりやゲームしたりするように受動的に行なうのではなく、自らが主体的になって行う体験となります。
主体的に物事を行なうことができる人は、学校、社会、家庭においても人の先頭に立って力を発揮することができます。

人は他人との出会いによって成長すると言われます。様々な人と出会うことで多様な価値観を知り、他人の立場で物事を考える力を養います。
子どもたちは核家族化によって祖父母と接する機会が減りました。お祭りや行事の縮小で地域の人と接する機会が減りました。少子化によって一人っ子の家庭が増えました。大勢のいとこたちと一緒に遊ぶ機会が減りました。
今後IT化社会が成熟すれば、オンラインによるコミュニケーションが増え、人と実際に会う機会はさらに減少します。
自ら出会いを求る人だけが、豊かな人間関係を築くことができます。

人は感動することによって成長すると言われます。
しかし、最近では「感動」という言葉が現実よりも、テレビ、映画、ゲームなどのメディアに対して使われることが多くなりました。
しかし、どんなにすぐれた物語も、視聴覚効果も、現実の体験にはかないません。メディアによって視聴覚から受ける感動は長くは続きません。
それに対して、実体験の感動は時が経っても色あせることがありません。
たとえば、自然との触れ合い、自分の努力が実を結んだときの喜び、人と力を合わせて何かをやり遂げた充実感などです。
実体験の感動は、時がたつほどに新鮮によみがえることがあります。
私は子どもとの日々を過ごす中で、今まですっかり忘れてしまっていた幼い頃の感覚を思い出すことがあります。
それはまるで長く海の底に沈んで眠っていた宝物を、偶然に見つけたように素晴らしいものでした。
様々な成功や失敗を積み重ねてゆくことで、人は成長するものだと思います。また、白紙で物事を受け入れることができる幼児期にこそ、子どもに感動の機会を与えてやる価値があります。

植物が育って開花するまでには時間がかかります。種によっても土壌や天候などの環境によっても状況は変わります。
子どもに様々な機会を与えてみても、すぐに結果として現れる事はないかも知れません。しかし、しっかりと土を耕していれば、まかれた種はやがて芽を出します。
同様に現在の育児も、後になってみなければ幸せの価値が分からないものです。

もし、子どもがいなければ、体験できなかったことがあります。
子どもがいなければ、出会うことのなかった人たちがいます。
子どもと一緒でなければ、味わうことができなかった感動があります。

育児を楽しむことができるかどうか
また、育児によって人生を豊かにできるどうかは
結局のところ、自分しだいなのです。



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